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2016年9月 7日 (水)

圧巻!この1冊

    知人から届いた1冊の書・・・『長原スピリットを語る』。
 読むうちに胸が熱くなるを覚えた
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 広葉樹の魅力を家具に注いだ、故長原實さんの情熱の証しとも思える良書は、公益財団法人北海道文化財団の発行とある。

 家具職人・経済人でありながら「家具づくりは人づくりから」を唱える教育者であり、思想家と評された長原さんの「残したモノ」を執筆したのは、同文化財団理事長磯田憲一さんだ。

 往時の上川支庁長時代から親交の間柄。副知事を経て大学教授時代に立ち上げた『君の椅子プロジエックト』
(※)は、発想のユニークさに感銘深めた長原さんが高く評価した。ご両人の木材を基点とする「ものづくり」の世界は、共通項として広く人々の視線にとまることとなる。
 
 同財団が平成27年度から始めた事業「人づくり1本木基金」・・・基金の寄付者でもある長原さんが亡くなる2日前、自宅の病床を訪れた磯田さんに “最後の仕事”ともいえる「モノづくり王国にしてほしい、公立北海道ものづくり大学」の構想を筆談で伝えられたという。

 生前から燃やし続けてきたこの情熱を広くに伝えたい、そんな思いで執筆されたのが本書。磯田さんの「発刊にあたって」が胸を打つ。



 熟読させていただいたその要旨~
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  •  木工家具産業のトップとして比類なき指導力を発揮し、『旭川家具』を世界屈指のブランドに育て上げた職人・・・。その長原實さんが、2015年10月8日、私たちの元から静かに黄泉の世界へ旅立たれた。この北の大地と、「ものづくり」へのたぎる思を最期まで途切れさせることのない、見事な人生であった。
  •  既存の権威におもねることなく、孤高と言ってもいい気高い志と洞察力で、時代のあるべき姿や方向を指し示しながら、行動し続けてきた。時には人知れず涙を流し、心折れそうになったこともあったかもしれない。どんなに激しい風圧にさらされようとも、風上に立つことを忘れない人。北の大地にあって常識という固定観念やしがらみの殻を打ち破り、新たな価値を生み出す先駆者であり続けることこそ、北海道の潜在力を地域とそこに生きる人たちの誇りにまで高める道だと信じていたからでしょう。
  •  驚嘆させられるのは、木工家具の産業としてのあるべき方向や、家具職人としてのありようを語る、その理念は家具の世界に止まらず、人間社会の全てに通底する時空を超えて心にしみる思想、哲学であったことである。

      旅立たれる僅か47時間前の2015年10月6日、午後2時。退院されて自宅に戻った長原さんは、ベッドの上で私の来訪を待っていてくださった。「1本木基金スタートして嬉しいですね」そう語りかける私に「ようやく間に合った !」と笑顔を見せてくれた。声も出すこと切ないなか、自らベッドに身を起こし、「ものづくり」に向けた思いを、渾身の力で紙にしたためられた。
  •  この地に蓄積する財産としての「織田コレクション」「IFDE国際家具デザインフェア」『道立高等技専」「人づくり1本木基金」を有機的に運用し、地域を「ものづくり王国」に、と記して、柔和な表情で私の手を握り、手を合わせられたのである。あの合掌は、地域社会の中で生き抜いた長原さんが、市民に向けて、木工家具に生きる人に向けて、今を生きる心ある人に向けて手を合わせられたのに違いない。
  •  長原さんが80年の生涯をかけて、渾身の思いで伝えようとした「ものづくり王国」へ、という言葉は、行政機関の計画書が何万語を費やしても描き切ることのできない、地域の進むべき方向性を端的に指し示す「魂の言葉だった。
  • 晩年精魂を傾けた「公立ものづくり大学」開設は、今なお霧の中。しかしこの地の人々が希望に向かって誠実に歩もうとするスピリットを持ちさえすれば、「ものづくり王国」とすることは可能である。何より一人ひとりの心の中に「内なる王国」を築くことはできるはずだ、と信ずる。
  • 長原さんは道半ばで倒れたのではない。想いの丈を語り、行動し、役割を果たし尽くしたと私は思う。
 
 
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(※) 磯田さんが主宰する 『君の椅子』
 
Photo
 

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